倉敷の若手税理士ブログ

カテゴリ: ブログセミナー

「損益分岐点売上 その2」独立開業ブログセミナー第23回

9月 7th, 2011

さて、

損益分岐点売上高はあくまで会計上のものであり、

損益分岐点売上高をクリアしても資金繰りまでが回ることを

示してはいません。

以前に申し上げたように、

① 借入金の元本返済額は費用ではありません。

したがって、前述の「固定費」には含まれません。

一方で、

② 減価償却費は支出は無くとも費用になります。

したがって、前述の「固定費」に含まれることになります。

他にも、

入金≠売上 出金≠「固定費」および「変動費」

になるものはありますが、ここではあくまで簡便な方法として

上記①と②の違いだけを考慮することとします。

さて、「損益分岐点売上」は

損益分岐点売上=固定費+変動費 でしたね。

固定費に含まれない支出が借入金元本返済額で、

固定費に含まれる支出の無い費用が減価償却費ですから

「減価償却費」と「借入金元本返済額」の大小によって分けて考えます。

① 「減価償却費」>「借入金元本返済額」の場合

 「減価償却費」-「借入金元本返済額」だけ、

 損益分岐点売上が下がっても資金繰り可能。

② 「借入金元本返済額」>「減価償却費」の場合

 「借入金元本返済額」-「減価償却費」だけ

 損益分岐点売上が上がる。

・・・で、良いでしょうか?

続きは次回

ブログセミナー

「損益分岐点売上」独立・開業ブログセミナー第22回

8月 27th, 2011

今日は、「損益分岐点売上」のお話をします。

普通「損益分岐点売上」というと、下記の式で表されます。

損益分岐点売上=固定費+変動費

ここで注意すべき点が一つ。

変動費は売上の増減にあわせて一定の率で増減するという点です。

たとえば、固定費が40 変動費は売上高の60%かかる事業構造だとすると

損益分岐点売上を(A)とすると

(A)=40+(A)×60% となりますから

(A)=100 となります

かたや、固定費は同じ40でも変動費が売上高の20%しかかからない事業構造だと

損益分岐点売上(B)は

(B)=40+(B)×20% となりますから

(B)=50 となります

どちらが少ない売上げでも赤字にならない事業構造かということがわかりますね。

後者の方が少ない売上げでも黒字化できるということです。

今度は固定費の違いで比較してみます。

たとえば、固定費が60で変動費が売上の40%の場合(C)

固定費が30で変動費が売上の40%の場合(D)です。

(C)=60+(C)×40%

∴(C)=100

(D)=30+(D)×40%

∴(D)=50

固定費が少ない方が少ない売上げでも黒字化できますよね。

事業構造(ビジネスモデル)を考えるうえで、

売上高に対する変動費の割合と固定費の額には気を

つけた方が良いでしょう。

さて、これが一般的な「損益分岐点売上」の考え方ですが、

前回書いたように、これにさらに資金繰りの視点を盛り込むとどうでしょう。

それについては次回。

ブログセミナー

「利益計画簡易チェックポイント」独立・開業ブログセミナー第21回

8月 8th, 2011

利益計画をたてたら何をチェックするのか?

「当期純利益」だけを見てプラスであれば安心か?

というと、そうではありません。

簡易チェックポイントを紹介します。

① 資金繰りチェック

 (個人事業の場合)

税引前当期純利益+減価償却費

>年間借入金返済額(年間借入金減少額)+生活費+税

 (法人の場合)

当期純利益+減価償却費>年間借入金返済額(年間借入金減少額)

 この式の不等号が逆になるようだと問題です。

 何らかの資金手当てをしないと資金ショートする可能性があります。

 そして、1年目だけでなく、

 3年後や5年後も問題ないかチェックしてください。

② 損益分岐点チェック

 逆に、①の式がイコールになるような(税引前)当期純利益になるために

 必要な売上はいくらなのかをチェックします。

 その際に注意すべき考え方があります。

 イ)変動費 と ロ)固定費 という考え方です。

 変動費とは、売上の増減に一定の割合で連動する費用を意味します。

 「売上原価」科目に挙がっているものがそのほとんどでしょう。

 一方、

 固定費とは、売上の増減に関わらず固定的に発生する費用を意味します。

 「販売費・一般管理費」の大半が該当します。

 つまり、必要売上を逆算する際に、売上が上がった分そのまま利益が上がる前提で計算する

 のでなく、売上増に併せて変動費が増えて利益がその分減ることも計算に入れなくては

 いけませんので注意してください。

 さて、このように必要な売り上げを逆算して想定しておけば、

 計画より売上がいくら下回ったら問題かがあらかじめつかめるので、

 対策が打ちやすくなります。

この必要売上の計算の仕方については、次回もうすこし詳しく書きます。

 

ブログセミナー

「減価償却費 その2」独立・開業ブログセミナー第20回

7月 28th, 2011

さて、今回は

店舗の什器代金35万円の処理についてどうするのか、ということでしたね。

答えは

「35万円は一時の経費にはならないで、

何年かに分けて費用にしていく。」

です。

一セットのものが10万円以上のものは、「原則として」※

購入したその時にその購入金額の全額がいっぺんに費用にならないのです。

(※30万円未満までのものを一時に経費にできる特例がある。)

そして、

何年かに分けたその費用を「減価償却費」というのです。

また、分けるにあたっては、

① 何年間で分けるのか

② どういった基準で分けるのか

といった問題があります。

①については、「耐用年数」で、

②については「定額法や定率法といった償却方法」で、

分けるというのが答えです。

(「耐用年数」や「定額法」や「定率法」の意義の説明は長くなるので割愛します。)

ここで察しの良い方は気づくかもしれませんが、

「支払金額≠費用額」になっていますね。

最初の年は、支払金額より費用額が少ないですが

2年目以降はお金を支払っていないのに費用が発生しますよね。

設備投資の金額が少ない場合には、それほど気にしなくても良い

のかもしれませんが、多い場合には事業計画の立案において注意

が必要です。

なぜなら、設備投資初年はお金は出ていくのに、

全部が費用にならない(=税金の負担が相対的に増す)

訳ですから、資金繰りに窮する可能性があるからです。

逆に、2年目以降はお金は出ていかないのに費用が発生する(=税金の

負担が相対的に減る)訳ですから、資金繰りがその分改善されるでしょう。

税金計算と資金収支の異なる点の一つとして、「減価償却費」の処理は

覚えておきましょう。

ブログセミナー

「減価償却費」独立・開業ブログセミナー第19回

7月 24th, 2011

今回お話しする

「減価償却費」は本来、前回お話しした「販売費・一般管理費」

に含まれるものです。

ですが私は損益計画を立てる上でこの「減価償却費」は別建てで考える方が良いと

考えています。

それは何故か?

このことを説明するには、「減価償却費」という費用の特殊性を説明する必要があります。

「減価償却費」は、「広告宣伝費」や「水道光熱費」などといった

他の費用と違い、支出した金額がそのまま計上されることが

無い経費なのです。

具体的に例示します。

チラシを作成して3万円払ったら、「広告宣伝費 3万円」

 という処理を行いますね。

事務所や店舗の電気代が3万円払ったら、「水道光熱費 3万円」

という処理を行いますね。

ところが、店舗の什器を35万円で購入・設置したらどう処理するのでしょうか。

「消耗品費 35万円」という処理でしょうか。

何となくそれで良さそうですね。

しかし、違います。

以下は次回

ブログセミナー

「販売費・一般管理費」独立・開業ブログセミナー第18回

7月 13th, 2011

今回触れる「販売費・一般管理費」は、売上を生み出すために

間接的に要する費用と言えるもので、一般的に「経費」と

言われるものにあたります。

「販売費・一般管理費」の一例を挙げるなら、

① 人件費にかかるものとして

 「役員報酬」・・・取締役の報酬

 「給与手当」・・・事務等を行う社員の給与

 「法定福利費」 ・・・社会保険料や雇用保険料など

 「福利厚生費」・・・事務所に備え付ける常備薬や飲料やちょっとした食べものや

            社員旅行や忘年会・新年会・歓送迎会の費用など

② 販売にかかる費用として

 「広告宣伝費」・・・チラシ・パンフレットやHP維持管理費用や名刺代など

③ 管理にかかる費用として

 「地代家賃」・・・事務所の地代や家賃

 「水道光熱費」・・・事務所の水道代や電気代など

 「消耗品費」・・・事務所の備品(筆記用具やコピー用紙などだけを別に分けて

           「事務用品費」とすることもあります。)など

 「租税公課」・・・印紙代や証紙代や公的証明書作成手数料や自動車税や重量税や

           預金の利子から天引きされた国税(=「源泉税」といいます)と地方税

           (=「利子割」といいます)など

これら「福利厚生費」や「広告宣伝費」といった名称の事を、

「勘定科目」と言います

例示した勘定科目以外にも使われている勘定科目は沢山ありますので、ご自身の事業の

特性に応じて使うと良いでしょう。

また、あくまで私見ですが、一般的に使われている勘定科目の中にふさわしい勘定科目が

無いと思えば、柔軟に名称を設定してもかまいません。

ご自身の事業にはどんな費用が掛かるのかを考えてもれなく計画に

組み込むことが第一です。

ブログセミナー

「売上総利益・営業利益・経常利益 等」独立・開業ブログセミナー第17回

7月 8th, 2011

次の、「売上総利益」は「売上高」から「売上原価」を引いただけのものですから、

数字はすぐに出ますね。

さて、この「売上総利益」と同じように差引することだけで求められる「利益」が

他にも4つあります。

「営業利益」・「経常利益」・「税引前当期純利益」・「当期純利益」です

数字自体は差引で求められますが、その結果の数字には意味があります。

・「売上総利益」は「粗(あら)利益」ともいわれ、商品・製品の販売や

サービスの提供による直接的な儲け(を生み出す力)を意味します。

・「営業利益」は「売上総利益」から間接部門の経費など

(=「販売費及び一般管理費」)を引いたもので、本業での儲け

(を生み出す力)を意味します。

・「経常利益」は「営業利益」に本業とは直接生じるものではありませんが、

経常的に発生する収益や費用(=「営業外収益」と「営業外費用」)

を加減算したもので、いち事業年度における経常的な儲け

(を生み出す力)を意味します。

さらに、「経常利益」からその事業年度のみに発生する利益や損失(=「特別利益」と

「特別損失」)を加減算した「税引前当期純利益」

「税引前当期純利益」から法人税等を差引いて求める「当期純利益」があります。

それぞれの意味を理解しながら計画を立てることで自社の利益構造がわかってきます。

ブログセミナー

「売上原価」独立・開業ブログセミナー第16回

6月 28th, 2011

今回は「売上原価」についてです。

前回の「売上高」がしっかり練り込んで決めてあれば、「売上原価」は、

その売上高に対応するものと考えればよいので比較的たやすく計画

出来るのではないでしょうか。

物品販売業では、「売上高」に対応したその物品の仕入れ価額を、

製造業では、「売上高」に対応したその製品を製造するために直接

要した「材料費」・「労務費(工賃)」「経費」の合計額

にすれば良いだけです。

ところで、この売上原価について考える際に、合わせて

適正在庫についても考えておく事をお勧めします。

ある物品を1個売るのには、店頭にその物品1個だけを置いておけば

良いというわけではないことは容易にわかりますね。

種類や数量が実際に販売されるよりもどの程度多くなくてはならない

か、いわゆる通常時の品ぞろえにどのくらいの金額を要するか考え、

これを先にお話しした「資金計画」にフィードバックするのです。

このいわゆる「在庫」は、資金が寝ることになるので、

出来るだけ少ない方が良い一方、

少なすぎると在庫不足による販売機会損失が生まれる危険性があります。

資金に余裕があるのが理想ですが、そうでない場合には注意が必要です。

ブログセミナー

「売上高」独立・開業ブログセミナー第15回

6月 17th, 2011

 今日は、損益計画書の一番上に位置する売上高についてです。

 この、売上を見積もるのが一番難しい事です。

 おおざっぱに見積もるのならこうなるでしょう。

 「売上高」=「一月あたりの売上高」×12

 ですが、あなたのしようとしているビジネスは

毎月の売上高が一定のものですか?

 また、一か月の売上高を見積もるのにも、

 1日あたりの売上高を見積もって1か月分の

営業日数で掛けるだけでは、精度が低く

なりませんか。

 一週間の売り上げは毎日同じではないでしょう。

 考えると、意外に色々な事が分からなくては

売上計画が出来ないことに気づかれましたか。

 商品ごとの売価を把握し、来店客数の見込みをたて、来店客単価

を乗じるであるとか、季節変動はあるかなど細かく考えれば考えるほど

わからなくなります。

 ですが、この過程を面倒だからといって適当に

済ませてしまってはいけません。

 悩んで考えて、色々な角度でご自分のビジネスの売上構造を分析

しておくと、

 開業後実際の売上とのズレが生じた際に原因分析が

し易いのです。

 そして、分析が出来れば対策も思い浮かぶことでしょう。

 ですから、ここはとことん分析してください。

 そして、その中で一番厳しい数字(売上高の少ない数字)を計画値

としましょう。

 その理由はわかりますね。

 計画においては、「入りは少なく、出は多く見積もる」

のが開業後のリスクを少しでも少なくするからです。

ブログセミナー

「損益計画その2」独立・開業ブログセミナー第14回

6月 1st, 2011

 しばらくブログセミナーをお休みしておりました。

 と申しますのも、おかげさまでいろいろな方々からの引き合いを立て続けにいただき、

そちらへの対応に注力していたからです。

 このようなブログは、専門の業者にある程度の費用を払えば、

通り一片の情報をテンプレートで準備してもらえるものです。

 ですが、私はそんな情報発信の仕方は私の温度が伝わらない

無味乾燥なものになってしまうので、取りたくありません。

 関与させていただいたお客様に対する対応もオーダーメイドなら、

こういった情報発信も、あくまでオーダーメイドで行きたいのです。

 間が空いたことの言い訳はこのくらいにして、本題に入ります。

① 資金計画を立てたら今度は損益計画に入るという点。

② 損益と収支は違うという点。

 この2点を前回説明しました。

 では、実際に損益計画はどう作るのか。

 ここでも、テナントを借りて小売業をする場合の損益計画ということで考えていきましょう。

 売上【イ】                      ××× 

 仕入原価【ロ】                   ×××

 売上総利益(損失)【ハ】=【イ】-【ロ】    ×××

 販売費一及び般管理費【ニ】          ××× (減価償却費除く)

 減価償却費【ホ】                 ×××

 営業利益(損失)【へ】=【ハ】-【ニ】-【ホ】 ×××

 営業外利益【ト】                  ×××

 営業外費用【チ】                 ×××

 経常利益【リ】=【へ】+【ト】-【チ】      ×××

 特別利益【ヌ】                   ×××

 特別損失【ル】                   ×××

 税引前当期純利益【ヲ】=【リ】+【ヌ】-【ル】 ×××

 法人税住民税及び事業税【ワ】          ×××

 当期純利益【カ】=【ヲ】-【ワ】          ×××

 これが損益計画のひな形になります。

 次回は各項目を掘り下げて解説していきます。

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